愛猫の健康診断で「尿中タンパクが高い」と指摘されたことはありませんか?猫の腎臓病において、尿中タンパク(UP/UC比)の上昇は病状進行の重要なサインです。この記事では、蛋白尿が高い場合の原因から実践的な対策まで、獣医学に基づいた情報を詳しく解説します。
猫の腎臓病における蛋白尿の意味
猫の慢性腎臓病(CKD)では、腎臓の濾過機能が低下することで、本来は再吸収されるべきタンパク質が尿に漏出します。これが蛋白尿(タンパク尿)の正体です。
尿中タンパク濃度を クレアチニン濃度で補正した値が「UP/UC比」です。この値が高いほど、腎臓のダメージが進行している可能性が高いとされています。IRIS(国際獣医腎臓学会)の基準では、UP/UC比が0.5以上の場合、プロテイン管理が推奨されます。
蛋白尿が放置されると、さらなる腎臓ダメージを招き、病状の悪化速度を加速させる悪循環が生じるため、早期の対策が極めて重要です。
蛋白尿が高くなる原因
腎臓病に伴う蛋白尿
猫の慢性腎臓病は加齢とともに進行する疾患です。腎臓内の糸球体という濾過装置が硬化・萎縮することで、タンパク質が漏出し始めます。特に7歳以上のシニア猫では、35%以上が何らかの腎機能低下を持っているとも言われています。
急性腎臓病による蛋白尿
感染症、中毒、急性の腎障害によっても蛋白尿が出現します。この場合、原因疾患の治療により改善することもあります。必ず獣医師の診察を受けてください。
その他の原因
高血圧、尿路感染症、悪性腫瘍なども蛋白尿の原因となることがあります。複数の基礎疾患がある場合は、各々の治療が蛋白尿改善につながる可能性があります。
蛋白尿が高い場合の検査と診断
蛋白尿が指摘された際は、以下の検査を段階的に実施することが標準的です。
| 検査項目 | 目的 | 実施頻度 |
|---|---|---|
| 尿検査(UP/UC比) | 蛋白尿の程度を定量評価 | 初診時、その後3〜6ヶ月ごと |
| 血液検査(クレアチニン・BUN) | 腎機能低下の程度を評価 | 初診時、その後3〜6ヶ月ごと |
| 血圧測定 | 高血圧の有無を確認 | 初診時、以降3ヶ月ごと |
| 超音波検査 | 腎臓の構造的変化を確認 | 初診時、必要に応じて年1回 |
特にUP/UC比が1.0を超える場合は、蛋白尿管理食の開始とACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与が検討されます。
蛋白尿管理の第一選択肢:食事療法
蛋白尿が高い猫において、最も重要かつ有効な対策が食事療法です。腎臓病用処方食への切り替えにより、蛋白尿の低下が期待できます。
腎臓病用処方食の選択基準
腎臓病用処方食には以下の特徴があります。
- 低タンパク質: 通常食の50〜60%に制限(通常食は35〜40%、腎臓病食は20〜30%)
- 低リン: リンの蓄積を防止し、腎機能低下速度を遅延
- 低ナトリウム: 血圧上昇を防止
- 高オメガ3脂肪酸: 抗炎症作用により腎臓保護
これらの処方食により、UP/UC比が3〜6ヶ月で20〜40%低下することが報告されています。
食事療法の実践ステップ
| 段階 | 期間 | 方法 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 段階1 | 1週目 | 現在の食事に処方食を10〜20%混ぜる | 猫は変化を嫌うため段階的に |
| 段階2 | 2〜3週目 | 混合比を30〜50%に増加 | 嘔吐や食欲低下がないか観察 |
| 段階3 | 4週目以降 | 完全に処方食に切り替え | 完全移行後、食べ残しや体重減少に注意 |
もし食事療法が進まない場合は、獣医師に相談し、湿性食(缶詰やウェット)やサプリメント併用などの工夫が検討されます。


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